出席簿を作って印刷したけどあとどうするのよ事件

講演会用エピソード集

この記事は、日本語学校開校当初に様々な書類や帳簿、各種データを整備してく中で、「出席簿」について悩んだ経験をまとめたものです。

一言で言うと

出席データは極めて重要。後々監督官庁のチェックを受けるので、紙の記録に加えて正確に集計するための技術が求められる。簡単に見えて、簡単ではない。

最初は、簡単な一枚の表、しかし学生が増えて、クラスが変わると・・

出席簿というものは、この学生がいつの授業に出席したかを記録するものです。授業は45分を一コマ(時限)として、一日4コマ分記録します。遅刻、早退、公欠など、単に出席か欠席かというものではありません。

コロナの影響で、最初のクラスは10名でした。この段階ならば、Excelで名前を10行並べて、日付を列の軸に取れば、簡単につくれます。印刷して、◯とか✖️とか、遅刻や早退をつけていけばいいですね。

しかし、どんどん学生が増えると、「出席簿」を管理するには技術的な「思想」が必要になります。出席簿なんか各クラスで名前をリストしておけばいい、という簡単な話ではありません。クラス替えは基本的に学期中は行わない、と原則を定めていても、例外は発生します。クラスが変わる度に、出席簿を修正しなければならない自体となり、これどうやって管理したらいいの?となるわけです。

「クラス主義」ではなく、「学生主義」でデータベースを構築

例えば、AクラスからDクラスまであって、それぞれの表に学生を振り分けていくという考え方は、あとあと行き詰まります。最初に、全学生の学生リストがマスタデータとしてあって、その学生がその授業が行われた日にどのクラスに出席したかという視点でデータを作ると、集計がしやすくなります。Yさんという学生は、1年生ではAクラスだったが、後半Bクラスになって、最後Cクラスになることもあるわけですから、クラスで追いかけるよりも、その学生に焦点を併せて履歴を追う方が簡単ですね。

印刷ありきの想定でExcelを扱うことを「神(「紙」の皮肉)Excel」なんていいます。そうではなくて、データベースファーストの考え方で裏側を構築して、印刷や画面表示のためにViewを作るという考え方の方が、データの扱い方としては適切だと考えられています。そのためには、従来からあるVLOOKUP関数に加え、集計の準備のためのVSTACK関数という新しい関数など、便利な関数がどんどん登場してきていますが、このような技術をもって、効率的な処理ができるデータベースシートを作っていかなければなりません。

たかがExcel、されどExcel、しかし、Excel

Excelを使うと大抵のことはできます。しかし、なんでもかんでもExcelでやるべきじゃないです。Excelは素晴らしいソフトですが、すべてのパソコンに同じバージョンのExcelがインストールされているとは限りません。自社はそうでも、取引先が同様に、互換性のあるバージョンである保障はありません。ネパールの現地日本語学校ではこの形式のファイルは開けませんでした、なんていう報告はしょっちゅうです。

かといって、FileMakerのようなデータベースソフトを導入するとしても、Excelほど有名、王道でないソフトは、使える人を選ぶので、なかなか導入に踏み切れないものです。PHPとMySQLでシステムを組んで、なんて高度のことを考えても、相当なスキルがないと挫折して終わりです。

お金をかけず、同じバージョンで、クラウドでシェアしながらコラボできるソフトは何かとなれば、Googleスプレッドシートのような、Googleのアプリが落とし所になります。ExcelがVBAというプログラミングで自動化できるように、Google App ScriptというJavascriptとほぼおなじようなプログラミングでマクロにしたり、アプリ化することができます。ただサーバーサイドで動くアプリなので、大量のデータ処理となると、ExcelやFileMakerのようにローカルでデータを扱うソフトに比べると限界があるのかなというところです。

まとめ

経営者や、校長、教務主任が欲しい「結果」は、「記録された出席を集計して、出席率を出せ」ということです。データ処理自体は難しいロジックではないにせよ、どのように記録するかというところが、アナログな、人間の営みのあり方によって事情が変わるので、ここをよくよく想定しておかないと後々苦労します。

現在までに私が扱ってきた「出生簿」に関するアプリやプログラミング言語は、

  • Microsoft Excel
  • Google スプレッドシート
  • FileMaker
  • PHP + MySQL
  • Python (pandas) + Excel

です。

出席集計レベルのことなら、手段はどれでも可能です。問題は、人間の動き方でした。コンピュータが苦手で出席簿の処理に困っているのか、そもそも出席簿の記録仕方で困っているのか、現場で仕事をしている日本語教師の先生は整理して対策を立てなければなりません。

コメント