日本語教員試験2024体験記(試験日翌日付)

日本語教員試験2024

2024年(令和6年)11月17日、第一回目となる「日本語教員試験」が行われました。
この記事は、私の経験をまとめた体験記です。

受験の決意

なぜ日本語教員試験を受けなければならないかというと、将来的に勤務校が「認定日本語教育機関」になるのに備え、そこで働くためには「登録日本語教員」でなければならないからです。試験の受験パターンや、たどるべきルートは現職であるかどうかや、420時間講習、検定合格の有無などで様々です。私は本来は日本語教育能力検定試験に合格しているので、基礎試験と応用試験の「免除」申請は可能でした。しかし、あえて免除を申請せず「知識の入れ直しをする」という大義名分の下(本音は講習が高そうなので、最安で合格するルートはどれかを考えました。)、Fルートで正面突破を考えたのです。

受験勉強

試験を決意したのが出願締め切りの9月初旬。まずは、文科省のホームページに公開されている「サンプル問題」に取り組みました。そして、日本語教育能力検定試験の令和5年度過去問を解きました。正解率は、8割ちょうどくらいだったので、ひょっとしたら日本語教員試験になんとか間に合うかな?という光は感じていました。
基礎試験は免除ながら「応用試験」を受けなければならない同僚の先生方と勉強会を初めました。私は日本語教員試験の「先生」として何かを語れるほどのバックボーンはないので、あくまでも勉強会の主宰として、教室使用の許可を学校からもらって初めました。
2週間に一回の勉強会のために、検定過去問を平成30年まで随時やり込んだり、用語集をデータベース化して、勉強にかかる時間を圧縮するための体制を整えていきました。聴解試験に対しては、口腔断面図や調音点、調音法に不安を持つ先生も多かったので、Matsuoモデルという図解を作って共有しました。
残り一ヶ月は徹底してYoutuberの大根先生の一問一答をやりこみ。1000問から2000問というところでしょうか。大量で良質な問題がたくさん作られているので、徹底してやりこみました。わからないキーワードは、アルクの最新の用語集に飛んで読み潰していくというサイクルです。
また、アルクの「まるわかりガイド」は、日本語教員試験の新しい形式を想定した練習問題がたくさん掲載されていたので、過去問解説の「日本語教育ナビ」、ももこ先生のYoutube動画と都度リンクしながら、全てを解ききりました。
残り1週間で勉強が失速。もう「頭のコップに水が入らない」という状態になりました。もうこれで落ちたら自分はそれまでだ、と「合理化(自分に言い訳を作ること)」をしながら、ドラクエ4・5を引っ張り出して気分転換。本番試験では選択肢がドラクエの戦闘コマンドに見えてしかたなかった原因はこれです。

これまでの背景知識

私は社会人になってから夜間の大学を経験しています。動機は英語スクールが高いので、どうせならもう一回大学行こうってな感じでした。英語専攻でしたが、今も流暢に話せるレベルではありません。ただ、「英語音声学」のゼミにいたことは、調音点だの調音法だのという勉強において有利になったのは間違いありません。
塾や家庭教師の経験からも、「国語」の指導については人並み以上に興味を持っていたと思います。古典文法も大好きな方でした。勉強が苦手な児童生徒に英語を教える時、これって結局日本語の問題よね?という疑問が、のちの日本語教師への道へとつながっています。

試験当日

ドラクエで気分転換しすぎて、前日は思ったほどエンジンがかからず。とにかく寝て、当日朝アルク本の聴解部分をやりながら試験会場に向かいました。手応え良く解けるのもあれば、これは本番になってみないとどうしようもないぞと、だめなものは捨てる方略も意識しましたね。御堂筋線の英語/日本語アナウンスでアクセント練習をしました。
基礎試験は100問あって、一応確信もってマークしたものが70。曖昧が
25。わかるかよが5。この30のうち、自分の検定試験過去問の平均的な正解率75%、すこし掛け目を入れて、60%を掛けると、18問。確信を持って解いた70に掛け目を入れて90%として、63問。これを足すと、81問といことで、想定通りのできならば、ギリギリ合格という自己評価です。12月20日の発表で「不合格」だったならば、実際の成績とこの辺がどう違うかで、また自己分析できるでしょう。
応用試験のうち、聴解試験は撃沈。とにかく、わからないものは捨てて、最後まで1問を削り出す方向で頑張りました。50問のうち6割の30問を取れたとは思えません。半分以下の20問として、最後の読解で挽回しようと気持ちを入れ直しました。
読解は60問で、合格基準を6割とすると、36問、聴解も6割とすると、応用試験では66問を取らなければなりません。聴解で20と想定すれば、46問を応用で取らなければならない事態です。実際、60問うち、一応確信の下に解いたのが40、曖昧・諦めて捨てたのが20。基礎試験のように40問に掛け目をいれて90%で、36問。20問のうち、60%として12問、これで48問です。聴解の想定20を足して、合計68問という、まさに取らぬたぬきの皮算用。
上はざっと読み飛ばしていただいたとして、もう一度すっきりまとめると、基礎試験を81点、応用試験を(20+48=)68点という想定通りならば、当初の合格基準を超えたといえるところです。マークミスや、掛け目など、この関数の引数は不確定要素がたくさんありますから、合格した!!という確信はまったくありません。問題冊子回収されたので、自己採点もできないんですから。

どう勉強すればいいのかの考察

これは、今後またいろいろ考えて、同僚やSNS上でつながってい先生方のお知恵を結集したいところです。ただ、現職という仕事をしながら勉強しなければいけない立場においては、実際に日本語教師をやっているという強みとして、普段の授業サイクルと勉強サイクルに組み入れるという、例えるならば「日本語教育DX(自動化)」の仕組みがいいのではないかと、試験を通して考えるようになりました。
「試験に合格するために、たくさん勉強して下さい。」と学生には言ってますが、どう勉強するのかということを、いかに自分に合わせて編み出すか。司法書士・行政書士試験や宅建士の試験は合格したらさっさと仕事をするためのものですが、日本語教師は留学生等に「学び方」を教える仕事をしなければなりませんから、まずはどこまで自分自身に対して先生になれるか、というのが表か裏かかはわかりませんが、大きなテーマの1つだったのは間違いありません。

受験料、試験実施方法などの諸問題

これを書いている現在は、2024年11月18日の11:30ごろです。X(旧Twitter)には、受験した方々の様々な意見や感想が溢れています。私もたくさん思うところがありますが、とにかく「問題冊子を回収しないでほしかった」の一点です。事前に周知されていなかったハンカチは無地という杓子定規なところも気に食わないのですが、「国家試験だから規定通りにやりますキリッ」というスタッフの態度は、ある意味妥当であります。ただ、受験者個人レベルで感じたことや意見は、しかるべき機関に具申していいと思いますので、日本語教師という仕事にもっとスポットライトがあたるように情報発信も兼ねて、やっていきたいところです。

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