この記事は、留学生がアパートの電気やガスを契約する際に経験したオペーレータとのやりとりの記録です。
学生から相談「電気が止められたが、料金を全部払ったので再開したい」
日本語学校あるあるの話です。留学生が電気料金を滞納して、供給を停止されてしまいました。お金がないわけではないのですが、請求書をきちんと把握していなくて、結果として滞納、停止となった事例です。
通常は、お金を払って供給を再開するところですが、電力会社の自由化の昨今、関西電力などの本家以外で契約していて、滞納して一回供給停止になってしまうと、たとえ料金を完済しても供給再開のための再契約ができないケースが見受けられます。
今回のケースもまさにこれにあたり、これまでの業者とは一回完全に縁が切れ、別の業者で新規に契約をしなければなりません。
ネットで探し、別の業者で契約手続き〜本人で、日本語力が必要です〜
ネットで検索すると、電力会社はわんさか出てきます。レビューや、契約条件を吟味しつつ、適当な業者を選択。0120で始まるコールセンターを通して契約を申し込みます。
最初、日本語学校の先生ということで、本人のそばでサポートで電話していますという形で通話を開始しましたが、開口一番「御本人で、日本語で理解できる方でないと契約できません。」ときました。この学生は2年目の学生で、相当な日本語力があるのでやりとりが無事進んだのですが、1年目にこの作業を行うとすると絶望的です。
電気、ガス、ネット、そしてよくわからんオプション契約
電気の契約で10分くらいかかりました。やっと終わったかというところでガスはどうですか?となり、ガスも同じくらいの時間をかけて終了。と思いきや、SMS(電話番号メール)でリンクを送っているので、そこから本人確認して口座登録してくださいとのこと。
ゆうちょ銀行を選択しようしたら、あやまって違う銀行を押したので、戻るボタンではなくてブラウザバックしてエラー発生。最初からやりなおし。そんなことを電話がオペレータでつながったまま繰り返し、やっとゆうちょ銀行の引き落とし手続きに入ろうというところで、サイトの提携がうまくいかず、「同意ボタン」はアクティブなのに先に進まない。
オペレータは、念の為に口座引き落とし申し込み用紙も送付させていただいております、とのことで、あとからでもいいかいと心の中で突っ込む。決済をスムーズにするように、なるべくこの段階で引き落とし口座を設定させたいという気持ちはわからんでもないのですけどね。
「電気の通電は、これからリモートで行いますが、何時までに必ず開通すると約束するものではない」ということをしきりに確認してくる。また、契約者は「関西電力ではなくて、◯◯エネルギーですので、ご認識のほどよろしくお願いいたします。」ときた。
ご認識のほどよろしくお願いいたします、なんて、日本語教師的には噴飯ものだが、クレーム回避目的だったり、様々な事情があってこのような日本語になっているだろうということはこちらも想像します。インターネットはどうしますか、いらないです、のやりとりがつづいて、確認でなにかよくわからない修理サービス・オプションが毎月550円くらいかかるが、初月無料で解約しないとずっとかかりつづけるというような、携帯電話の手口でさらっとオプションパックが乗せられていました。とりあえず文書がとどいたら、私のところにもってきなさい。一緒にまた電話して解約しようとアドバイスしました。
まとめ
日本語教師としては、学生が日本語を理解しやすいように「ティーチャートーク」に苦心したり、語彙コントロールをしたり、「やさしい日本語」での表現を試みたりして日々工夫しています。しかし、契約者本人で、日本語を理解していないと契約申し込みを受け付けないという企業のスタンスは、まあ仕方ないとはいえ、留学生にとってはきっつい状況だなぁと思うわけです。
なにしろ、この電話のやり取り、日本人であっても難しいです。最近の電気、ガス関係の契約の事情に明るくないとつまづきますし、スマートフォンですこしテクニカルな操作も求められます。電話一本で済んでた昔の方が利便性がよかったともいえ、スマートフォンと難化する日本語で、ユーザーの負担は増す一方です。
日本語教師からのサポートを受けられる留学生はラッキーでしょうね。日本に住むのだから、電気ガスの契約などの日本語ができなければならないというのはごもっともですが、一般的な日本人でも悩んでしまうよな日本語は、誰にとっても「やさしくない日本語」だな、とため息が出ました。
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